Artist's commentary
桃狐半月国傾剣
はぁい。それでは、わたくしの持つ剣でございますが。
特に謂れなどありません。
特に強い異能などありません。
光刃も放つことはなく、切れ味もそれほど鋭くなく、
ごくありふれた、ごくごく普通の剣でございます。
ああ、いえ。少し、刃渡りが長いでしょうか?
でも、世界にはこれ以上に大きな剣などいくらでも
ありまして。
殊更、凄いという訳でもありません。
……でも、想いがあります。
この剣には、想いがあるのです。
わたくしを護ってほしい、護りたい。
わたくしに害為す者を斬ってほしい。斬るべきだ。
そんな想いが、呪いが、籠められた剣でございます。
そしてそれは、他ならぬこの剣自身もそうなのです。
この剣は、わたくしを護りたがっているのです。
わたくしのために、斬りたがっているのです。
わたくしのためならば、たとえ国を相手にしてでも
戦い抜いてくれるでしょう。
で、あれば。
謂れも異能もありません。
この剣は、とてもとても凄くて、強くて、
最高の剣に他ならないのです。
故にその名を桃狐(とうこ)半月(はんげつ)国傾剣(こっけいけん)。
これは、わたくしのためなら国をも傾ける剣なのです。

Leave a comment