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Artist's commentary
レイ・ムラサメ
『機動戦士Gundam ジークアクス 1088』(二次創作)に登場。
レイ・ムラサメ。ムラサメ研究所における強化人間製造のための実験0号。名前のレイとは「0、零」のこと。ただし本名は「レイ」が苗字。
ニューラル・レースを用いた洗脳強化人間実験体としてUC0079から手術を繰り返し、0087において状態が安定したとしてコールドスリープから覚醒。なお、彼の実験から分岐してムラサメ姓の強化人間が複数作られている。
左右の目が違うのは0079での戦闘で損失した右目を義眼にしているから。これは後に生身の眼球と置き換えられる。
搭乗MSはサイコミュ搭載試作機G-3。最終戦闘ではイグニスガンダムの兄弟機IG-03に搭乗予定。
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(「シャリアブルの憂鬱その2」からのつづき)
⚫︎インターバル3「レイ・ムラサメ」
「で、この艦がどう出るかだが、本部からはまだ何も連絡がない。ジオンに警戒しているというよりは、ソラリスとの接触が連邦本部よりもティターンズの方が先だったことが懸案事項なんだろうが・・。」
ホワイトファントム艦橋の艦長席に座ったヘンケン・ベッケナーが、天井モニターに映し出されたソラリスの映像を見ながら、いささか呆れたように言った。
「でも艦長。連邦の戦艦は南米から宇宙に上がってるんですよね?これから艦隊を組むんじゃないんですか?」
操舵席近くにいるエマ・シーンが艦長席を見上げながら尋ねる。その濁りない緑色の瞳がヘンケンを見る度に、彼は心臓の鼓動が若干速くなっているのを自覚していた。しかし、それを悟られないようヘンケンはモニターを見上げ続けた。
「そうはいっても3隻のみだ。それ上は出せんだろう。あれだけで何か起こせるとも思えんしな。」
そう答えるヘンケンの座席横にレイ・ムラサメが近づいてくる。
「外交使節ですね、ティターンズお膳立ての。連邦のサラミスに乗っているのは、あらかじめジャミトフ総帥の息がかかった官僚でしょう。茶番ですよ。」
「ムラサメ中尉、ティターンズのエースがそんな言い方していいのか?」
ヘンケンが笑みを浮かべながらレイに顔を向ける。レイも笑顔で返しながら、
「エースだからって皮肉の一つ言っても良いでしょう。自分の身体の調整についてはティターンズに恩はありますが、批判精神は普通に養ってるつもりです。」 と澱みなく返した。ヘンケンが軽く頷く。
「ま、その方が健全だし、俺も話しやすいよ。」
ここ数日のホワイトファントムでの滞在で、レイもエマもヘンケンが醸し出す大らかな雰囲気にかなり馴染んできていた。戦艦の艦長というよりも荒れた大海に挑む漁船の船長、海の男のイメージが強い人物であった。酒が入ると自称バイキングの子孫だと冗談混じりに言うが、実際はゲルマン系のアメリカ人が先祖だ。
「ジオンも反乱でどうなっちゃうんでしょうね・・。」
エマが前方のコロニーを見ながら呟くように言った。ホワイトファントムはサイド3に近いコロニー群「ニュールウム」と名付けられたサイド4へと近づいていた。ニュールウムは一年戦争時最も被害が大きかった旧サイド5「ルウム」であり、戦後は中立国であるサイド6の管理下でサイド4として再編され、復興の途上にあった。その宙域ではジオン、連邦も大きな動きは出来ない。だがヘンケンが敢えてこの宙域を選んだのは、ジオンと連邦の両陣営から得られるであろう「雑多な情報」を求めてのことだった。 ヘンケンが前方のコロニー群を見ながらエマに答える。
「さあなぁ。元連邦のエースだったアルテイシア陛下も意識不明とか言われているが、それもどうだか。」
「殺されたと?」
ヘンケンはエマの問いを受けながら、録画された過去のニュース映像を天井のモニターに映し出した。アルテイシアが福祉施設を慰問した一番新しい映像が現れた。
「殺されちゃいないさ。ジオンという名の国において、彼女はレガシーだ。どういう立場であったとしても、今の彼女なくしてジオンは成り立たなくなった。ザビ家には戻れんのだよ。」
「じゃ、避難もしくか幽閉でもされてるんでしょうか?どこかに。」
エマの言葉にヘンケンが頷く。
「ああ、可能性はあるな。シンボルとしても政治的にも、彼女はこの3年で国の要になった。これは動かせないだろう」
「ムラサメ中尉は、どう思います?」
そう言ってレイに視線を向けたエマが見たのは、レイがニュース映像を見ずにコロニー群が浮かぶ宇宙を見つめている様子だった。その顔には表情がなく、ただ一方向をじっと見続ける空虚とも感じる視線だけがあった。
「ムラサメ中尉?」
「・・あ、ああ。ごめん。ちょっと他ごとを考えていた・・」
「どうした?大画面のアルテイシア陛下に見惚れていたんじゃなかったのか?」
ヘンケンはニヤリを笑ってレイに話しかけた。
「いえ、そういうわけじゃないです。あまり好みじゃありませんし見つめてもいませんよ。」
レイは天井モニターの映像を見ることもなく、視線を泳がせるようにしてヘンケンに答えた。
「好みじゃない?美人なのに。ペガサスJrではミライ・ヤシマやシマ・ハチジョウと人気争いしたとか話題になってたけどな。」
「いや、自分はそこはよく知らなくて・・何しろ大戦中は意識不明状態が続いてましたから。それに、その『ライトブラウンのヘアの女性』が金髪美人と言われる理由もよくわからなくて・・」
「ライトブラウン・・?」
ヘンケンはレイの言葉を聞き、怪訝そうな顔をしながらエマを見た。エマもレイの言動に違和感を感じているようだった。
「ムラサメ中尉?もしかして君の義眼は・・」
ヘンケンが少し遠慮するような口調でレイの右の義眼を見つめた。
「ン、どうでしょう?義眼の色調整に異常があるとは思いませんが・・」
レイの声から先ほどの快活さが消え、どこか捉えどころのない淡々とした口調を帯びてきた。エマはレイの目から光が消え、虚ろになりつつあるのを見逃さなかった。ヘンケンは一瞬顔から表情を消したが、すぐにいつもの豪胆さと不敵さを感じさせる笑顔を浮かび上がらせた。
「G-3の修理も長引いたし、エマ少尉のマークⅡの整備にも手を尽くしてもらった。ここで一気に疲れが出たんだろう。ハサン先生にビタミン剤でももらってきたまえ。ジオンの女になったやつの話はもうやめだ。それよりもシロッコ中佐からいつまた呼び出しがかかるか分かったもんじゃない。それまでは、ゆっくりしてくれ。」
ヘンケンが話題を変えた途端にレイの目に光が宿り、能面の様になりつつあった顔に少し笑みが浮かんだ。
「すみません、徹夜の整備が祟ったみたいです。少し休みます。」
「いや、よくやってくれた。メカニック達が目を見張っていたじゃないか。MSがフル稼働できるのは頼もしいよ。」
「はい、ではこれで・・」
レイは敬礼し、ブリッジのエレベーターを使って、その場から去った。 ヘンケンはそれを見届けるとエマに視線を移して手招きした。何かを察したエマが近づく。ヘンケンは小声で話し始めた。
「ムラサメ中尉は、シロッコ中佐の下でもあんな感じだったか?」
「いえ、私はあまり近くにいなかったんですが、さっき見せたあの表情は・・見たことがありません。」
「ン・・ハサン先生に聞いてみるか・・」
(つづく)

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